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空気を読みすぎた天気「ラブライブ!」第5話

 大雪の予報が外れると日本人は怒り出すということが明らかになったが()、では降水確率60%の予報ではどうか? 梅雨入りした「ラブライブ!」の世界では、2日連続で降水確率60%の予報にもかかわらず雨が降らなかった。アバンの朝練シーン、黒髪の背景はとても梅雨とは思えないほどの青空だ。

 しかしOP後、同日放課後の練習をしようとすると雨が降り始める。穂乃果「降水確率60%って言ってたのに…」真姫「でも60%なら降ってもおかしくないんじゃない?」穂乃果「でも昨日もおとといも60%だったのに降らなかったよ」。ここで雨が弱くなる。穂乃果「やっぱり確率だよ~!」よくわからないが好きなセリフ。からの、犬のようにハアハアしてテンションを上げた凛のアクションシーン。

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 ここ、今まで出番が少なかった凛の唐突なキャラ付けにも見えるが、穂乃果が「PVみたいでカッコイイ!」と言ったこのシーンが成立するためには、かなり複雑な気象条件が要請される。ターンの水しぶきを映すためには、あらかじめ水たまりを作っておかなければならない。つまり事前に雨を降らせてから、凛を外に出すために一旦雨をストップさせ、ポーズが決まったタイミングで再び土砂降りにする必要がある。穂乃果は「練習する気満々だったのに、天気ももう少し空気読んでよほんとにもう…」と不満を漏らしているが、いや天気はじゅうぶんすぎるほどに空気を読んでいる。60%という微妙な数値は、この天候を呼び出すための呪文だったのだ。やっぱり確率だよ!

 誰かが「予報見たら明日も雨だって」と言っていたように、次の日(2日目)も雨。アイドル研究部の嫌な感じの先輩・にこの画面が増えるとともに、雨=鬱屈したにこ、のような関係が出てくる。3日目はもっとあからさまだ。仲の良い主人公三人組に対して、教室でも廊下でもぼっちのにこ。背景の窓の外は雨。暗い雰囲気のまま部室に入る。と、電気が点き(スイッチ押してなかったけど)、メンバーによる籠絡作戦が始まる。にこが半ば強引な説得に応じてメンバーに加わったところで、カメラが会長室に移動。副会長「見てみ、雨、やんでる」。次のカットで、光さす空から屋上で練習しているメンバーにつながる。目をうるませるにこ。こうしてにこは心をひらいて仲間になりました、めでたしめでたし…。

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 第5話の天気は一貫して空気をよく読んでいる。が、しかし、凛のシーンとにこの一連のシークエンスでは、天気の空気の読みのうまさはまったく違う。前半の凛のシーンで「雨→やむ→土砂降り」と変化する天気は、舞台を整えてキャラを動かす要件であり、そのシーンを成立させるための前提になっていた。ああいう天気だったからこそ、凛の見せ場が生まれたわけだ。だが後半のにこのシークエンスでは、雨はにこの気持ち的な何かを表しているかのように見えてしまう。そういう勘違いはよく見るが、天気と人物の内面とかお話の状況とかは全く関係ないはずだ。要するにさっきとは逆で、ああいうお話だったからこそ雨が降っていた、ということになっていて、天気がお話を説明する道具になってしまっている。前半のほうが巧みなのは言うまでもない。

 最後、屋上での練習シーンを入れるためには、やはり雨は上がらせなくてはならない。第5話で安易だったのは、屋上での練習を導く天気の変化を、にこの内面と接近させすぎたことだ。ではどのタイミングで雨を止めるか。それっぽい解としては、たとえば3日目、ぼっちのにこが廊下を歩く背景ですでにやませておき、雨滴が葉っぱから滴るカットでも入れておく、とか、副会長が「見てみ」という対象を、天気ではなく「屋上」くらいにしておく、とか。あるいは、2日目の回想終わりでやませて、やんでいるのに傘で顔を隠すにこを映してみる、とか。それに雨が止んでいることくらい、わざわざ「見てみ」とか言われなくてもわかる。

「天気→動き」は正しい。だが「動き→天気」は嘘だ。誰が何を思ったところで天気は変わらない。が、天気が変わればキャラクターは気持ちを変え動きはじめる。この関係は一方通行であり、逆走した映像は安易に見える。空気を読みすぎる天気は作品の質を落とす。

(参考)ラブライブ! 5話考察 -小さなラブライブ!- : 愛は太陽だよ!
穂乃果の目的の変化を追っている。天気についての指摘は、当記事への批判としても妥当的な内容。

(=)鬼の矢澤の入部試験<アイドルゲーム>「ラブライブ!」第5話
(←)まきりんぱなへ至る途「ラブライブ!」第4話(1)
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