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「君のいる町」第7話

 風間恭輔の病室は白い。壁も床もベッドも白い。だから影が現れる。クラスメイトからの手紙には、わかりやすく十字の影。飾られた花は白く、女が掴まる手すりも白い。着ている服も白い。肌色まで白い。だがこの白さは教室で奪われる。制服は冬服に変わり、白シャツが濃紺のブレザーになる。白壁は黒板に変わる。屋上の手すりは黒い。最後に、雨が地面を黒く濡らし、缶の影が消える。

 この作品にはアイキャッチがない。だからAパートとBパートの「間」は読み込まない。缶の影が消えた次のシーンでは、雨は既に止んでいる。主人公と明日香が、「待ってる」恭輔に会いに行く。道中の水たまりには空が映っている。明日香は捨てられた傘を飛ばす。雨は悲劇を準備するものではい。水たまりと傘によって、初めて悲劇が描写されうる。

 台詞で語られる、「あの時病院で一番泣いとったのはお前じゃなあか」。しかし映像で「あの時」は描かれず、代わりに時間を与えられたのは、歩く主人公と明日香、傘、水滴、水たまり。この道中には、恭輔の死を明確に示すものは何もない(雨とかクモの巣とか黒猫は、たんに雨とかクモの巣とか黒猫なのであって、別に「死」を意味するものでもなんでもない)。だが彼らが歩く時空間は、何かのせいで、これまでとは違ってしまった世界である。

 少なくとも、目を閉じた人間の画を映すよりは、彼らのいる町が現れている。
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