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オルタナティブみんながセンター「ラブライブ!」2期第6話

「みんなハロウィンは知ってるでしょ?」、登場人物の知能レベルを疑わせる発言から始まる第6話。μ'sにはアキバのハロウィンイベントへの出演依頼がきているらしい。イベントでのパブリックなステージということで、最初から観客への意識が明言される。花陽「A-RISEと一緒ってことは、みんな注目するよね」、にこ「A-RISEよりインパクトの強いパフォーマンスで、お客さんの脳裏に、私たちの存在を焼き付けるのよ!」。この他者の評価や競争への意識は、1期では作品に緊張をもたらす重要な要素として機能していた(参考:1期9話など)。が、しかしこの線はOP明けの人形劇シーンであっさりと片付けられる。ことりの「優劣つけるものじゃないし、そんなの気にしても……」に対して、にこ「勝負はもう始まっているのよ」さらに真姫「確かに採点も順位も無いけど、お客さんの印象に残ったほうが多く取り上げられるだろうし、みんなの記憶にも残る」。μ'sはラブライブ優勝を目標にしている。A-RISEに勝つためにも、なんとしても観客の印象に残らなければならない。「とにかく大切なのは、インパクトよ!」

 では「インパクト」とは、具体的にはどういうことか。アキバでのインタビューシーンで、A-RISEが二つの要素を出してくる。制服姿で適当な挨拶をするμ'sに対して、映像で早変りを披露するA-RISE、ツバサのセリフは「私たちは常日頃、新しいものを取り入れて、進化していきたいと考えています。このハロウィンイベントでも、自分たちのイメージを、いい意味で壊したいですね」。ここでA-RISEが示した「インパクト」とは、(1)服装=見た目の変化と、(2)イメージを壊す=過去の乗越え。この流れに引きずられて、μ'sは部活アイドルやらキャラ入れ替えやらアナーキーでパンクなパロディとか、まあいろいろやってみることになる。6話のライブパートは、このA-RISE的なインパクトへの回答としてある。

ライブパートのインパクト:見た目の変化

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 2期6話のライブパートは、いつものように穂乃果センターで始まる(左)。街なかでのライブというよりはPVっぽい雰囲気、ハロウィンらしく、背景は夜。だがサビに入ると画面は一気に明るくなり、背景がはっきり見えるようになる。この昼→夜の変化は、当然、3つ前のシーンの穂乃果の発言を受けたもの。会議でモメた後、穂乃果は急にしんみりムードになってこう言っていた:「ハロウィンって、昼と夜とじゃ印象がぜんぜん違うんだね」同じ景色でも、時間が経てば、勝手に見た目は変わる。変化したように見えてしまう。さて、その明るくなった背景は、どうもセットの平面感が気にかかる。(右)のカットは明るくなった直後だが、平面のセットを正面からベタッと捉えているせいで、奥行きが把握しづらくなっている(続くカットで、実はにこが一番手前にいることがわかる)。メンバーの位置取りを混乱させる操作は、次の〈変化〉への伏線である。

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 希へのズームインから、映像がPV風→ライブ映像に変化、1期6話を思い起こさせる映像レベルの飛躍。この変化の強引さに加えて、メンバーがいろんな方向から出てきて動き回ることもあって、彼女たちのフォーメーションを把握することはかなり難しくなる(左)。メンバーはシャッフル状態になる。で、カメラが正面に切り替わると、今度は奥行きのある街の風景を背にして、センターの位置には希がいる(右)1期6話で「みんながセンター」と言いながらその場所を譲らなかった穂乃果に代わって、希がセンターという意外性。この意外性が、ライブパートとBパート冒頭のキャラ入れ替えシーンを繋ぐ。あのギャグシーンは、希センターのライブパートからの視線を得て意味を持つ。

入れ替えシーン:希-穂乃果の外見軽視

 印象的なキャラ入れ替えシーン。凛の真姫がやたら上手かったり、恥ずかしがっていた海未が一度やり始めたら結構イケていたり、その海未は自分のモノマネを見ても平然としているのに対して、穂乃果・ことり・にこは意外とビビっていたり、いろいろと楽しい。このシーンで希は穂乃果を演じ、迫真の「いや~、今日もパンがうまい!」を見せてくれる(これを見て素に戻ってしまった穂乃果の「私って、こんな……?」に対して、役に入ったままドライに返答することりが良い)。注目したいのは、他のメンバーが(乗り気でなかった真姫を除いて)服装だけでなく頭部パーツも入れ替えているのに対して、穂乃果と希は髪型の入れ替えを省略していること。ここに現れている傾向を読み込む。髪型とは服装より根本的な外見的要素である。入れ替わりとは互いの特徴を模倣することだ。つまり、入れ替わりにおいて髪型を省略した穂乃果と希は、互いを認識する特徴を外見に見ていないのだ。それに構わず、希は穂乃果が喋りかけたところに割って入り、「いや~、今日もパンがうまい!」。この入れ替わりはことりをも納得させるほどのクオリティだった(らしい)。要するに、最も重要なのは見た目ではなく、各々のキャラ付けである

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にこはことりを演じた。希は穂乃果を演じる。

+衣装係シーン:にこ-ことりの個性認識

 加えてこのシーンでは、にこ-ことりの入れ替わりにも注意を向けさせられる。にこはことりを演じていた。セリフが少ないので印象は微妙だが、ことり本人は引くほどの出来栄えである。今回このふたりといえば、もちろん衣装係をめぐるやりとりが浮かぶ。ライブ前のシーン、衣装作りをすることり・にこ・花陽(と希)。花陽がミシンをミスったところに、にこが「おかしいと思うんだけど」でバトルスタート。「何で私たちが衣装作りやってんの!?」、花陽「みんなはライブの他の準備があるから……」にこ「よく言うわ、下らないことで時間使っちゃっただけじゃない!」。花陽の言う「ライブの準備」とは、先に見た大掛かりなセットのことを指すのだろう。作中の時間経過は例によってわかりづらいが、あのセットを準備し始めているということは、この日はライブの前日か。そう考えると、にこ言うとおり、確かにおかしい状況である。なぜ前日になってまだ衣装ができていないのか。そんな状況で、なぜ衣装係でもなく、ミスするほどスキルのないメンバーが、衣装作りという重要な仕事をやっているのか。こんなに時間が押しているのは、「下らないことで時間使っちゃった」からではないのか。このままでは夜なべで服作りである。それなのに、当の衣装係のことりは「私は楽しかったよ」とか言っている。それは人が良すぎるだろう。「衣装係って言われて、損な役回りに慣れちゃってるんじゃない?」

 にこは入れ替えシーンで、「にっこにっこにー」を披露した花陽に対して、顔を引きつらせながら「にこはそんなんじゃないよ~」とツッコんでいた。花陽のにこは、もちろん髪型もしっかりフォローし、なかなか質の高いものだったように見えた(セリフも長かった)が、それでもにこ本人は明確にダメ出ししている。真姫も自分のモノマネに嫌がってはいたが、クオリティが低いとケチをつけたのはにこだけである。ここに見えるのは、各人のキャラクターは代替不可能であるという意志の傾向。だからこそ、「私たち」が衣装作りをするのはおかしいのである。それはことりの個性であり、そのスキルは誰にも代えられないはずだからだ。メンバーが「下らないことで時間使っちゃった」せいで、夜遅くまで作業しなければならない。ここは怒るべきだ。それでも文句を言わないなら、「損な役回りに慣れちゃってる」としか言いようがない。

 が、この指摘に対することりの反応は、「私には私の役目がある。私はみんなが決めたこと、やりたいことにずっとついていきたい」。ことりによれば、「役目」を負っていることは自覚しながら、それは「衣装係」という仕事とは関係がない。「みんながやりたいことについていきたい」から、いま衣装作りをしているという。夜遅くまで衣装を作ることは、ことりに固有なスキルと結びついた仕事ではなく、「みんながやりたいことについていく」という個性から発生した「役目」なのだ。ここで個性とは、キャラクターに固有の静的なものではなく、状況によって変化する動的な・代替可能なものとしてある。よって、スキルのない花陽を含めた「私たち」が衣装作りをやっていてもおかしくはない、それはその時たまたま9人の中で相対的に発生した役目なのだから。「みんなが集まって、それぞれの役割を精一杯やりきれば、素敵な未来が待っているんじゃないかな」ということりは、メンバーの個性を固定的なものではなく、流動的に変化する関係性として捉えている

ライブパートのインパクト:今の肯定

 ここまでの流れをまとめてみよう。A-RISEが示したインパクトとは、(1)服装=見た目の変化と、(2)イメージを壊す=過去の乗越えだった。穂乃果はすでに会議後のシーンで、時間の変化によって必然的に「ぜんぜん印象が違」ってくることに気づいていた。それは見た目の問題にとどまらない。まずキャラ入れ替えシーンにおいて、穂乃果と希が髪型の交換を省いていたことから、見た目より本質的な要素として「キャラの個性」のようなものが浮かび上がっている。加えて、にこ-ことりの入れ替えと衣装係をめぐるやりとりが、「個性」なるものを、特技・スキルと結びついた固定的なものから、メンバー間で流動的に担われる「役割」、相対的な立ち位置として描きだす。こうしてライブ前の穂乃果の言葉が導かれる。「A-RISEが凄くて、私たちも何とか新しくなろうと頑張ってきたけど、私たちは今のままが一番いいんだよ。だってみんな個性的なんだもん」、云々。わざわざ過去を否定して変わろうする必要はない。個性的なメンバーなら、放っておいても、時間とともにその関係性を交換して、変化のインパクトを残せるはずだ。

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 希がセンターに立つライブパートの終盤は、この6話の論理のパフォーマンスによる現れと見ることができる。「センター」という物理的な立ち位置が、メンバーのあいだで相対的に決定される役割=位置取りと重なるからである。1期6話でも書いたように、センターとは単なる位置を示すと同時に、必然的に「リーダー」や「牽引役」の役割を呼びこむ(そこで「みんながセンター」と言ったはずの穂乃果がそれでもセンターに立ったことに、映像の牽引役としての現れを見た)。その「センター」に、穂乃果ではなく希が立ったという事実。さらにライブの終盤では、背景に奥行きができたこと(あるいは周囲にいる観客の視線)と呼応するかのように、メンバーを様々な角度から捉えている。そのたびに、映像の中心にいる人物は代わる。(左)ではにこが真ん中にいるように見えるし、(右)は穂乃果がその場所に立つ。時間とともに、メンバー間の相対的な位置を変化させるパフォーマンス。いわば2期6話では、ついに「みんなが歌ってみんながセンター」が実現したのである。

 “状況に応じて誰もが推進役と補佐役を果たせるグループ”。こう書くと、なんだか個性を活かした理想的な集団みたいだが、もし本当に誰もがセンターに立てる=その役割を果たせるのだとしたら、そのグループは最初からかなり危うい。メンバーをまとめる何かがなければ、誰もが中心=推進役となって、拡散して勝手にどこかに行ってしまうおそれが常にある。ライブ直後の穂乃果による唐突な目標の確認:「よーし、絶対にラブライブで優勝するぞー!」は、そういう危機をぼんやりと感じさせるものがある。2期2話では、μ'sは9人が勝手に動き回るアツさをエネルギーにして創作に向かったのだった。μ'sというひとつの集団と、それぞれが中心として現れるメンバー9人。既に放送されている展開を先取りして言えば、この緊張は、9人がバラバラの言葉をひとつの音楽として創作する「Snow halation」おいて、ある極点に達するだろう。

入れ替えシーンの髪型についての指摘はtwitter@inu_bを参考にしました。
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