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「聖剣使いの禁呪詠唱」第7話(リテイク版)


面白みのあるPV。

 1話・4話・7話で三強である。7話は特に音まわりが冴えていた。初めの教室での自己紹介シーン。静乃がレーシャに転入の目的を問う。「調査、勧誘、誘拐、それとも暗殺?」物騒な言葉を並べてシリアスモード。レーシャ「私の目的は、灰村諸葉と交際することだ」静乃「えぇ?」この「えぇ?」が良い。流れがつまずく。すかさずサツキが「ハァ~~~?」で割り込んでくる。曲はもちろんサツキのギャグテーマ(1回目)。一気に空気が変わる。レーシャに褒められて調子に乗るサツキ。たまらず静乃が「オッホン」で空気を真面目モードに戻す。サツキのテーマ(1)終了。まず音とキャラの空気(静乃:シリアス、サツキ:ギャグ)を整える。

 レーシャ「あなたの兄を私にください、お願いします」サツキ「これはこれはご丁寧に……って、そういう問題じゃないのよ~バカ!」手を払う動きつき、ノリツッコミの勢いが良い。この勢いで、音は再びサツキのテーマ(2)に。そこに静乃が横から入ってきてさらにツッコミ「何をやっているのよあなたは」、曲(2)が終わり、今度は静乃のターン。静乃「エレーナさん、あなたは諸葉のどこを好きになったのかしら」核心をつく問い! レーシャは「一目惚れだ」、このやり取りにサツキが介入! 「そんなの全然答えになってないわよ~!」またサツキのテーマ(3)スタート! 見た目も(><)でギャグの顔、画面と音の両面からなんとしてもギャグに持って行こうとする! 静乃はサツキの口と顔を塞いで空気を変えさせまいとする! だが音楽は止まらない! レーシャ「そういうあなたは、灰村諸葉のどこが好きなのだ?」、静乃「全てよ」、これにレーシャ「それも答えになっていないと思うが」のツッコミが入り、ギャグ成立。静乃とレーシャのやり取りもギャグになってしまった。音とキャラを一致させてからずらす(あの音楽の中で静乃に喋らせる)ことで、シリアスとギャグを行き来する面白さ。ハーレム設定の根拠を問うとギャグになってしまう、ということを露悪的に誇張しているあたりも良い。

 練習のシーンと下校のシーンの繋ぎも、いわゆるエロシーン的な音楽で繋ぐことで、一応シリアスなお話(暗殺のための接近)を、アホくさいハーレムアニメに滑らかに移行させている。副長の登場はあの音楽を呼びこむためか。CM挟んでBパート、同じ下校場面の回想は、今度は穏やかな音楽。ハーレムアニメの男の取り合いとはいえ、みんな一途な感じがあってよいではないか、というような気分になった直後に、レーシャのネコミミギャグ。緩急自在! ギャグの空気になれば当然サツキ、電話をかけてまで介入してくる執念、電話ラップは竹達彩奈の匠の技。レーシャとのデートシーンは大げさなボーカル付きのテーマ。「なんて剛毅……」のロシア語の不意打ち、日本語でも言わんぞ的な語彙が二重におかしい。デートは静乃とアンジェラの電話と並行するようになり、イギリス本部長との対決エピソードの回想から流れ始める不穏な音楽がデートを侵食していく。もう悲劇的な展開は約束されている。そろそろ戦闘か? と思ったら、今度は1分間にわたるロシア語会話である(声:川畑えるきん)。もう笑うしかない。

 最後の戦闘も見どころ。静乃とレーシャ、いよいよ本当にシリアスムードに。レーシャの正体と戦闘の決意を語る静乃、雰囲気にふさわしくメインテーマの声が聞こえる。ここから音楽と戦闘の展開のタイミングががなりしっかりしている。静乃の初弾、二発目、ドラゴン登場で音楽が展開し、順当なアツさを感じる。追い打ちをかけるべく綴る静乃、予備動作付きで気合十分。2回目のボーカルが入り、上からふっ飛ばされたレーシャが降ってくる。ここで倒れたレーシャの視点で綴り続ける静乃の姿が見えるのが良い。まずダメージ表現でピンボケしていて呪文が強そうに見える。書いた文字が自動改行されていくのも面白い。そしてぶつぶつ呟きながら高速で綴り続ける静乃が怖い。「綴る!」は、綴られる側から見たら、こんなにも怖ろしいことなのだ(ドラゴンを傍らに綴る静乃は今回のベストショットである)。綴る動きが作る時間は、攻撃の「溜め」になると同時に、レーシャにロシア語で語る暇を与えている。戦闘中のおしゃべりが間抜けなことはよくあるが、相手が綴っているのだからその時間がある。「綴る!」の設定はつくづく映像と相性が良い。「私がここで死ねば、弟の未来まで閉ざされてしまう!」魔剣を出したレーシャの反撃! ここもタイミングはばっちり。静乃は「果断なる意志を!」で応戦、しかし綴る動きはもう映されないし、呪文の短さがかえって劣勢を感じさせる。振り向きざまの「ライトニング!」もカッコイイが、魔剣を出したレーシャは一行の呪文で倒せる相手ではない。戦闘開始からここまで1曲で繋いだ。 

 今回も、リテイク版は放送版からいろいろと修正が入っている。が、諸葉がレーシャに「イギリス本部長に似ている」と言われて立ち上がる動きの中割の枚数が増えていたのは残念だった。直後に、電話中の静乃がゆっくりと立ち上がる動きがある。ここは放送版でもわざとらしいほどゆっくりしなやかに立ち上がるように表現されていて、諸葉の中割のない立ち上がり方と対照的で、いいな、と思っていたところだった。前のほうがよかった。

 音響監督は稲垣監督の兼任。空気の違うシーンを音楽で繋いで、シーンと音のノリをズラしておかしみを出したり、戦闘シーンでは1曲長回しでアツく展開させたり。8話のコンドラート戦も、展開のある曲を長く聞かせて印象的なところ(4話の漆原邸のシーンと同じ曲か。早い展開が一発逆転のシーンによく合う)。「空戦魔導士候補生の教官」1話の出会い頭のスケベシーンでも効果的だった。


Twitterからの追記
最後の戦闘シーンについてもう少し。前半、レーシャは静乃に苦戦している。レーシャが氷にふっとばされたあと、静乃が綴り始め、次はもっと強い攻撃が来そうなことがわかる。ここでレーシャは初めて魔剣を使うことを決断する。つまり、静乃の綴りがレーシャの魔剣を呼び出している。さらに、レーシャの魔剣は「吸収」の武器だから、相手に攻撃させないと有効に機能しない。というわけで、魔剣を出すことと、その剣で攻撃することの二重の意味で、レーシャには静乃の綴りが不可欠である。その綴りの動きの時間で、レーシャはロシア語で語る。その時間はレーシャの側の「溜め」に変わり、ロシア語で喋っていることが、いわば彼女の「呪文」になる。音楽の展開に合わせて反撃するレーシャ、……というように、静乃の攻撃からレーシャの反転攻勢への転回が、いろんな要素を効果的に重ねて描いているから、おお、となったところだった。全体としてはすごくムラのある作品で、たとえばロシア編の綴りはかなり間抜けな感じがしたが(笑ったけど)、この回このシーンは冴えていた。
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